前回こちらでメイキングを見ていただきましたが、
レイヤーを同じ場所に何度も重ねたりしているのはほとんど
「ブラシのストローク(アラ、ムラ)」を生かして【情報量を増やす】ため
です。
ここでは、情報量を増やすことについて書いていきます。
まず、前回のメイキング途中のコレを見てください。
この段階で「これで完成です!」って言われたら、
「なんか物足りないな……」 ってなりませんか?
服や目、肌はともかく、一番目立つ「髪」の部分が、
なんだか「エアブラシでぐりっと一回塗っただけ」にしか見えないからです。
基本的に、絵を描かない人がイラストを閲覧する時、
真っ先に注目するのは「髪」と「目」です。
次に注目するのが、「背景」や「加工のキラキラした部分」。
最後に全体を見て、好みのイラストかどうかを判断しています。
なので、どんならくがきであっても、
髪と目さえしっかり丁寧に塗っていればそれなりの仕上がりに見えます。
さっきの例と、
完成品を見比べてみてください。
真っ黒だった髪に、 赤・茶色・薄いピンク・白など、いろんな色が混じっています。
そして、髪の表面を光る白い線でぎざぎざ刻んでいるため、「なんか工夫されてる感」が出ています。
この 「いろんな色が混じっている」ことを、【色数】
「刻まれてて、なんか工夫されてる感」を、【情報量】
と呼んでいます。
色数が少ない絵はこうなり、
情報量が少ない絵はこうなってしまいます。
どっちにしろ疎かにすると、
「なんかのっぺりしてて物足りない……」となる要因です。
色数を増やすにはレイヤースタイルを駆使すれば良くて、
情報量を増やすにはブラシ設定を頑張った上で
レイヤーを重ねれば良いんですけど、
引きの構図とかだったりすると、
それをやってもあんまり目立たなくて
結局情報量が……ってなることもままあります。
そこでお役立ちtips。
既存の画像を重ねてサクッと色数・情報量を増やしましょう。
色合成
【色数の増やし方】
これは「デジタルではじめて絵を描く」人にはできないことです。
今まで何枚か絵を描いたことのある人向け。
まず、色数を増やしたい絵を用意します。
とりあえずさっきのメイキング途中の絵使うわ。
そして、それとは別に、「過去自分で描いた絵」を用意します。
そしてこれらを、
パ イ ル ダ ー オ ン
オーバーレイにするとこうなります。
あとは、なんか気になるな~気持ち悪いな~って思う部分だけ
ぼかしてなじませ、
オーバーレイのレイヤーの不透明度や明るさなどを
上げ下げして調整するだけです。かんたん。
比較してみるとこれだけ違いが出ます。
これはマスキングしなかったから肌がすごい濃くなっちゃったけど、
別に絵全体にパイルダーオンしなくても、
髪の部分とかだけ選択してパイルダーオンしてくれて全然オッケーなので
ご活用ください。お手軽。
情報量増加
次はこちら。
これは誰でもできます。既存の過去絵をお持ちでない方でも。
【情報量の増やし方】
まず、情報量を増やしたいのっぺり塗りの絵を用意します。
ウケるね~私の今年1月の絵だよ~ヤバいね~のっぺりしすぎだね~……
次に、なんかよさげな「写真」を用意します。
自分で風景写真撮ってきたほうが
権利問題的には確実ですけど、
足成
これとか
これとか
高品質の写真、動画素材『シャッターストック』このあたりとか、
加工OKの写真素材屋さんを探すのでもオッケー。規約は確認してくださいね。 ちなみに今回のはこの間の大阪出張で撮ってきたやつ。
で、ここまでくるともう何をするかお分かりのはず。
パ イ ル ダ ー オ ン
あとはいらんとこ消したり回転させて角度を変えたりして、
レイヤーをオーバーレイにするだけ。
ここで注意していただきたいのが、
「色数を増やす」時は「ぼかし」使ってもいいんですけど、
【「情報量を増やしたい」時は「ぼかし」は厳禁】
であるということ。
情報量って、
「なんかぎざぎざに刻まれててすげー手が込んでて書き込まれてる感」
を出すために増やしてるので、
「ぼかし」を使うと
「ぎざぎざに刻まれてる感」
がなくなっちゃいます。
「どうしても人物の強調したい部分に被っててキモい」って部分以外は
ぼかさずにそのまま使いましょう。
いやね、もちろんブラシだけで情報量増やせるのが一番だと思うよ……
でも納期が短くてヤバいって時とか、
背景が広大すぎてちまちま刻んでたら死んでしまうって時とかは
さくっと写真パイルダーオンした方が早い。
どのみち上からブラシで塗り足しちゃうし「オリジナリティが~」とかは気にしなくていいと思う。